任意後見とは

 任意後見とは、ご本人様が十分な判断能力を有するときに、あらかじめご本人様を援助する任意後見人を選定し、また依頼する事務の内容を定めておき、将来ご本人様の判断能力が不十分になった際に任意後見人がこれらの事務をご本人様に代わって行う制度です。

 面倒をみていただけるご親族様がいらっしゃらず、将来にわたって専門家に財産管理を任せられたい方が多く利用されています。また、下記の死後事務委任契約とセットで利用されることも多い制度です。あわせて、遺言書も作成されることをおすすめしております。

死後事務委任契約とは

ご本人様が亡くなった後の手続きを、第三者に委任するための契約を締結です。

相続が発生すると、一例となりますが必要に応じて下記の手続きを執る必要が考えられます。

1.火葬、葬儀、納骨、墓地の管理

2.役所や金融機関への届け出

3.家賃、施設費、管理費、医療費などの未払い金の清算

4.賃貸住宅、電話(自宅電話・携帯など)、インターネット、新聞、ガス・水道・電気などご本人様が加入・利用していた各種サービスの解約

5.遺品の整理などの手配や手続

6.ご相続人様への連絡

亡くなった後のお手続きを任せるご親族様がいらっしゃらない方や、ご親族様のご事情により任せるのが難しいという方などが利用されています。死後事務には複雑な手続きもあるので、司法書士等の専門家に依頼することが多いです。

任意後見制度利用の手続き

<任意後見契約の締結>

まず、ご本人様と任意後見人との間で、任意後見人に代理してもらいたい事務(預貯金の管理、税金等の支払、施設との入所契約締結など)を定める任意後見契約を締結します。この契約は公証人が作成する公正証書により作成する必要があります。この任意後見契約とあわせて見守り契約を締結し、任意契約締結後は任意後見人と定期的に面会し見守りをうけるのが一般的です。

<裁判所への申立>

その後見守りを続けていくなかでご本人様の判断能力が不十分になった場合に、前項で作成した任意後見契約をもとに、家庭裁判所に対し任意後見人選任の申立を行います。なお、任意後見の場合には必ず任意後見監督人が選任され、任意後見人の行う事務を監督します。

任意後見人が行うこと

 任意後見人はあらかじめ任意後見契約で定めた事務に限り、ご本人様に代わって行います。そのため、任意後見契約で定めていない事務やご本人様が行った行為を取り消すことはできません。

任意後見人は裁判所へ年1回の報告義務があり、1年間の収支等を裁判所に報告します。

任意後見の終了

ご本人様がお亡くなりなられた時に終了します。

 その後、死後事務委任契約を締結されている場合は受任者にて死後事務を行います。

また、財産は遺言書がある場合は遺言執行者又は受遺者へ、遺言書がない場合はご相続人様へ財産の引き渡し等を行います。